2025/06/27

—ひきこもりサバイバー58 -ひきこもりの人と親たちとの心のすれ違い-

 福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆


ひきこもりの日々というのはつらいものです。

ひきこもりはとても楽ちんです。

ひきこもりとは現実逃避です。

ひきこもりとは命を守る手段です。

どれが正しいでしょうか?

正解はどれも正しいです。

人の心は変わります。

一日の間にもくるくると変わります。

「朝仕事に行きたくない」と思い、仕事場に行って「仕事の段取りがどうなっているか」に集中し、昼には「気の合う同僚との会話」をしながら昼食をとります。

結婚されていて家事をやっている方なら「朝食の準備」から「洗濯」や「掃除」など家庭での仕事にも心を集中させ、さらに「ごみの日にはゴミを出すくらいはしてもらわないと。家事の大変さなんか言ってもわからないだろうし、キッチンを片付けずに食事をして平気な人だからやってもらってもイライラするだけなのよね」ともっと心を動かしています。

ひきこもりはじめの人は「疲れた」「なんでこうなったんだろう?」「親に追及されたら言い訳の言葉もない」と思いつつ、何かこのそわそわを消してくれるものはないかとスマホに集中したり、朝気疲れしないために夜遅くまで起きるなど必死に頑張ります。

その生活に慣れてくると「自分はダメな人間だ」「死にたい」と思いつつも「自殺は悪いことだ」「事件にしたくない」と思うようになります。

無意識に今の状態をよりよくできないだろうかと親と和解しようとするのですが

「停戦条件は仕事」

と言われて交渉を打ち切ります。

交渉を打ち切ると今度は親が交渉継続を求めてくるので「見捨てられたわけではない」と思い、親が強く自分を支配していると思っていたけれど自分もそこまで弱い存在でないのだと気づきます。

そう自分を親が押さえ込んでいるように親を社会が押さえ込んでいるのです!

「事件になったら困るのは親も同じ!」

これくらいになるとひきこもりの人は生活リズムを自分で調整できるようになります。

「殺るか、殺されるか」でピリピリしていた交渉前とは別の側面がでてきます。

親御さんの中には「暴力をふるってくるので怖い」と訴える方がいるし、「殺されるかもしれないからまともに相手にすることができない」と思っている方もいるようですがよっぽどの圧力をかけない限り、そんなことはありません。

たとえばずーっと黙っていて急に「働きなさい!」とひきこもりの人に言うような場合はひきこもりの人の心は「今までまともな話ひとつしなかったのにいきなり働けなんてよっぽどのことがあったに違いない! とんでもない覚悟があるに違いない! 大変だ! どうしよう!」と大混乱に陥ってしまいます。

その驚きで声が大きくなり、言っていることをまとめられなくなり、怒鳴り散らした結果が「うちの子はちょっと声をかけても大声を出してわけのわからないことを言う」となってしまうわけです。

ついでにそれが嫌なのでさらに話をしてくれないようになるとひきこもりの人からは交渉の窓口を開くこともできません。

「あいつに殺されるかもしれない」と思っている人に話しかけたら何をされるかわかりません。

少なくとも私はそうでした。

こうしてすれ違いは続いていきます。

何年も何十年も。







こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

 

2025/06/20

—ひきこもりサバイバー57 -不登校の経験は一生残る苦しみ-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『小さな成功の極意』というお話。

◆◆◆

私はひきこもりを経験する前に不登校を経験しています。

私が高校三年生のとき夏休みを入れて三か月ほどの短い経験で、その後、先生方のおかげで無事高校は卒業させてもらっていますがそれでもあれから28年たった今でも

「暗くて逃げられない教室の中に閉じ込められて、やりたくないけれどやらなければならない勉強らしきことを机に向かってやっている」

を夢に見ます。

「また明日も学校に行かないと」いうと暗い気持ちで目覚めます。

そして「もう高校生じゃないから学校に行かなくていいのだ」と気づきます。

私は何とか高校を卒業させてもらっているので「不登校を貫いて高校を辞めた人たちに申し訳ない気持ち」や「自分が何だかんだで自分の意志を貫かなかった卑怯者だ」という気持ちがあるのかもしれません。

それとも先生たちが一生懸命助けてくれるのだからと悲鳴を上げる心を押し殺してがむしゃらに頑張ったために心が悲鳴を上げたことに気づいて欲しい、気づかないとダメだという心からのメッセージなのかもしれません。

「もう学校に行かなくていい」

と気づくのでひきこもり状態のときからずっと見続けている夢です。

目覚めたときには心底疲れ果てています。

ひきこもりをやめて支援機関の作業所に通い始めてからもそうでした。

障碍者就労をしてからも同じです。

そしてそれをやめてしまった今でも同じ夢を見ます。

私の経験に従って考えると心と体が疲れ果てているときにこの夢を見るようです。

不登校を経験した人たちが私と同じような形で心の傷を何度も見せつけられていないことを祈りたいと思います。

みんなと違い不登校になったということは「みんなと同じでいたかった」ひきこもりの人には耐えがたいことなのかもしれません。

それとも何とか卒業させてもらった私のような者だけが感じる引け目なのでしょうか?





こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/06/13

—ひきこもりサバイバー56 -ひきこもり流、やって後悔するよりも何もやらずに我慢する方がいい-

 福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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「やって後悔するよりも何もやらずに我慢する方がいい」

あなたはこれを聞いて何を感じるでしょうか?

もしあなたが「成功するか失敗するかわからないならチャレンジするべきだ」と考えるポジティブな方なら「どうせ後悔するならばやって後悔する方がいい」の覚え間違いじゃないかと思うかもしれません。

そしてその考え方こそがひきこもりの人に対する親や社会の「家に引きこもっていないで外に出て人や社会とかかわるようになれば何とかなる」という考え方の源泉となっているように思えます。

すごく簡単な言い回しをすると

「根拠のない自信を持って行動しなさい。上手くいくかもしれないから」

です。

今の社会はチャレンジして発展する社会なのでこの考え方はとても時代に合っています。

企業家精神を持った人が誰もやっていないことにチャレンジして新しいビジネスが生まれ、仕事が生まれ、失業者が減るという流れが上手くいくようにするのが理想なのでチャレンジ、ベンチャーは必要不可欠です。

これが今の社会の基本です。

基本なのですが、私たちひきこもりは「自信の持てない慎重な人」です。

起業するより大会社の地方支社の社員になることを選ぶタイプです。

成功するかしないかわからないことをするなんて!

もし失敗したらどうするんだ!

と思ってしまいます。

なぜなら

「学校や会社で追い詰められてひきこもった人たちは追い詰められた人間がどんなに危険なことを考えるかを体験しているから」

です。

本当に追い詰められると選択肢は

「自分を消すか」

「相手を消すか」

の二択になります。

相手を「当たり前」に置き換えればその緊急性を分かってもらえるかもしれません。

閉塞感のある社会を変えるために今の国際秩序を無視してイスラム国を建国するぞ!

そのベンチャー国家建設のためのテロ行為にチャレンジするイスラム教徒は関係のない外国の人たち。

追い詰められた人間はどんなギャンブルにでも手を出すものなのです。

あなたはそれでもチャレンジをした方がいいと思いますか?





こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/06/06

—ひきこもりサバイバー55 -あなたが今一番悩んでいることは何ですか?-

 福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『小さな成功の極意』というお話。

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四戸智昭先生の名言です。

私はこれを保健所主催のひきこもり家族相談会で聞いたときに「さすがだなぁ」と感心してしまいました。

それは「自分が悩んでいることを言葉にしないと人には伝わらない」、「自分が何に悩んでいるのかを理解することが大切」、「その中で今一番大変だと感じていることから解決して行きましょう」というメッセージをすごくわかりやすい形で盛り込まれているからです。

これがちゃんと学問として勉強して現実の場でそれを実践している人のすごさかとため息が出ました。

そして

「自分の体験だけを頼りにやっている私と違う方向性の人だ。これなら学問的なことは全面的にやってくれるだろうから自分は直感で突っ走っていいなぁ。面白くなりそうだ!」

そんなことを考えて自由にやらせていただきました。

私は超素直なので「自分の今一番悩んでいることは何か?」を考え

親に現状を分かってもらってもらって

「いつになったら人並みになってくれるの? 私たちもいつまでも生きてないのよ!」

と言わないでもらうことと決めました。

決めたものの、実行までには半年かかりました。

「今日こそ話をしよう」と思いつつできなくて私がどんな気持ちなのかをノートに書きだしてはまごついていました。

ノートの左半分に今の気持ちや自分の希望を書き、右のページに親の言葉を記録する空白を作ってノートの枠外に「話はさえぎらず最後まで聞く」と大書しました。

そしてある障碍者雇用を推進している会社を見学に行ったとき、そこの管理者の人が「障碍者の人たちはみんなやる気に満ちています。自己通勤のための支援もしています」と自信に満々に語っていたのを聞いて、気持ちがもやもやしてイライラしたのをきっかけに、ノートを持って親との話し合いに臨みました。

三日に一回しかこれない人がいる状況でやる気に満ちていると言われるとどうしてももやもやします。

「給与がいくらか、昇給昇進があるのか」という質問をしなかった自分にイライラします。

そういうもやもやイライラがリミッターを外してくれたのでしょう。

ひきこもりの人が親にいきなり「働け」と言われて大声を出したり、暴れたりしてしまうようなものです。

話し合いは四時間にわたりました。

ひきこもりの人の親御さんはよくある朝まで説教現象を思い出してもらえればいいと思います。

私はひきこもりになる人の特徴の「超真面目」特性を持っているのでやり始めたら倒れるまで突っ走ります。

せっかくなので母親だけでなく父親も招集し、母が話す時に父が遮ろうとしたら「今はお母さんが話しているからそれが終わってから」「お母さんの話を座って聞いてないとちゃんと反論できないでしょ。話が終わるまで動くな!」「さあお母さん、話したいことは全部話していいよ。俺は怒るかもしれないけどそれは俺の気持ちだから」といった調子で何度もトイレに立つ両親に「俺、この話が終わるまで動かないから。終わるまでどっちも逃がさないから」と必死で食らいついていきました。

「死でしまったら文句も言えんぜ」

というやつです。

こうして戦々恐々とした話し合いをノート一冊分くらいやったころにはそれなりに待遇は改善され、私の両親への理解も深まりました。

両親は「あんたは何をするかわからないから怖い」と言っていましたがそういうことを言ってもらえると私も「そうなんだ」と自分だけで思い込むより私を理解できます。

家族だからこそ安心して言いすぎてしまうことも当然あります。

しかし今一番悩んでいることを解決しようと努力するのは素晴らしいことです。

とてもとても大変なことだけれどとても大切なこともあります。

あの話し合いの日々の後、「あんたが普通になってくれたら」と言われてもそこまで頭に来なくなりました。

私はその言葉が嫌だったのではなく、私の気持ちを知ってもらえていなかったこと、知ってもらおうと努力していないことが嫌だったのです。

あなたが今一番悩んでいることは何ですか?

一度、それを考えてみるだけでも見える景色は変わり、やるべき行動が見えてきます。

なぜならそれは今の自分の心に語りかける行為だからです。





こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/05/30

—ひきこもりサバイバー54 -小さな成功が無理と感じるあなたはできることを探す前にできたことを認めることから始めよう-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『小さな成功の極意』というお話。

◆◆◆

26で小さな成功は自己完結でやろうという話をしました。

しかしそれが難しいのが私たちです。

小さいと言っても目標というのは「努力して目指すもの」なのでそれを探すことが大変です。

自分で小さいと思っていた目標がほかの人から見たらとてつもなく大きい。

他の人が見ても大きいと気づかないほど巨大な目標なのでみんな小さな目標だと誤解している。

そんなことは多くあります。

自分で小さすぎると思うのでそれを「目標」にすることをためらい実行できない、やっても誇らしい気分や自信がわいてこない。

そういう人も多いと思います。

なんとなく「働いている周りの人たちが普通で正しい」という感覚がひきこもり家族にはあるので焦りばかりが募ります。

そんなときは「今日できたこと」を認めることから始めましょう。

「よし、今日学校に行けたぞ」

「よし、今日は朝ちゃんと起きたぞ」

「よし、今日は一日親と口げんかせずに静かに過ごしたぞ」

ひきこもり側としてはこんな感じでしょうか?

あくまで夜に今日できたことを振り返って認める。

「できたこと探し」です。

小さな目標が難しいのは今、自分が何ができているのかがわからないからです。

はじめの一歩の前に「できたこと探し」をやってみてはどうでしょうか?

もちろん親御さんも一緒にやると自分の小さな目標を発見できるはずです。




こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/05/23

—ひきこもりサバイバー53 -ひきこもる前のひきこもりの人には可能性しかない-

 福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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「あのときあれをしてくれたらこんな風にはならなかった!」

ひきこもりの人は一度はこの言葉を親に発した経験があるのではないでしょうか?

もちろん私もあります。

親御さんの方も「あのときこうしていればひきこもることもなかったのでは?」と考えたことは何度もあると思います。

四戸先生とひきこもり家族相談会で親御さんの相談を受けていたとき私たちは何度もこの言葉を聞きました。

当然、内容は「いじめに対処していれば」から「好きな学校へ行かせていたら」と様々でしたが

「昔、ああしていれば子供は幸せになり、親にも今の悩みはなかった」

という意味では共通していました。

しかしタイムトラベルものとかタイムリープ系の時間を移動してやり直す小説を読んでいるファンタジー思考の私はこの言葉を聞くたびにこう思ってしまいます。

「人は過去には戻れないし、戻れたとしてもそれをして今より良くなる保証はないのに」

タイムトラベルものやタイムリープもの、つまりは過去に戻って悪い原因を取り除く系の小説を読んでいると過去を改変したために未来がさらに悲惨になり、それを改めるために主人公がめちゃくちゃ苦労するというのが定番です。

親が子供のためを思って過去を変えたら「ひきこもっていない」ひきこもりの人が世界中の人が恐れおののく独裁者として世界を支配しているかもしれません。

古い話ですが映画バックトゥザフューチャーは変わってしまった「今」を取り戻すためにタイムスリップするのでハッピーエンドが待っていました。

「未来は自分で作るのだ」

過去を悔やんだ後はよりよい未来のために何をするかを紙に書きましょう。

もし過去に戻れたとしても無限の可能性を持った自分がいるだけです。

無限の可能性を信じて自信満々のあなたは失敗したと自信を無くしている自分の忠告を聞き入れることは決してしないでしょう。


こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/05/16

—ひきこもりサバイバー52 -ひきこもりとして、親として理解しておきたいニュースの力-

 福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『小さな成功の極意』というお話。

◆◆◆

テレビを見ていると80歳の親が50歳の子供の生活の面倒を見ている8050問題から外れた90歳の親が60歳の子供の生活の面倒を見ている9060状況がドキュメント番組として流れていました。

ちょっとだけ目にしてのですが90代の親が

「いよいよとなったら子供を殺すしかない。社会に申し訳ないから」

という話をしているのを聞いて腹の底から怒りを感じました。

こんなに気分が悪くなる言葉を聞くのは久しぶりだ。

などと思っていたのですが「おっとこれはテレビ局で編集されている番組だった」と気づき、一呼吸置きました。

ひきこもりの人やその家族の人はとても真面目で純真なのでこういう番組を重く受け止めすぎることが多いように思えます。

ニュースとは珍しいから放送されるわけで、ドキュメント番組とは言っても放送コードに沿って作られています。

私が番組を見ていてびっくりしたのはそういう話をしている父親と同じこたつにひきこもりの子供が向こうを向いて寝っ転がっていたことです。

インタビューしているスタッフの「なぜそこまで」というひきこもりの人に擁護的な疑問の投げかけも、父親がしゃべりやすいようにイラっとさせつつも常識的な人権派を主張する絶妙なラインなのかなぁとそこからは番組の構成について考えてしまいました。

ひきこもり脱出しました系の話もよくよく見ると突っ込みどころはたくさんあります。

ニュースは劇薬です。

テレビショッピングの放送中に小さな文字で「これは個人の感想であり、効果を保証するものではありません」とでていても効果がありそうだからと買ってしまうのが人というものです。

注意されてもそうなのですからそれがないテレビ番組はそんなこともあるんだなぁと思った方がいいでしょう。

特にひきこもりの人やその親御さんは気を付けて欲しいものです。

「この人、ひきこもり脱出してちゃんと働いているんだって」

「すごいね。で、どこで働いてるの? バイト? 正社員? 父親が社長だったりしないよね? うちも父親が社長だったらいいのにね」

このあと私と母親は不毛な口喧嘩をしたのでありました。




こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/05/09

—ひきこもりサバイバー51 -いつまでもひきこもってうちの子はいったい何を考えているのだろうかと思ったら-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『小さな成功の極意』というお話。

◆◆◆

「いつまでも家から出なくて本人はつらくないんでしょうか?」

「アルバイトでもすればお金も入るし、視野も広がるのに」

「このまま年を取れば就職が難しくなるのはわかっているだろうに」

「車の免許だけでも取れば変わるのに」

ひきこもりの人の親の悩みは切実です。

言葉は違うけれどそれをぐつぐつ煮詰めていくと

「たった一つの想い」

だけが残ります。

「なんでみんながやれていることをやれないんだろう?」

その疑問を解消するために親は頭をひねり、体を動かします。

しかし何をどうやればいいのかがわからない。

そこで「恥ずかしい」「情けない」「何も考えていない」の三セットの言葉が頭をよぎります。

そして一番、ひきこもりの人にとってダメージの少ない「何も考えていない」を選択します。

親たるもの、その責任と愛情において子供のことを謙遜ではなく「恥ずかしい子」「情けない子」とは言えるものではありません。

すごく信頼している相談機関では口にできるかもしれませんが、家で口にすることはとても難しいです。

ひきこもっている人に「ひきこもっていて恥ずかしくないの?」と言うことは嫌いな人に直接「私はあなたのことが嫌いです」ということと同じです。

反発しか招きません。

そしてその激しい経験をしているからこそ、「何を考えているんだろう」で心が言葉を止めてしまうのではないでしょうか?

もし「うちの子はいったい何を考えているのか?」と迷ったら

「自分は子供を傷つけること、傷ついた子供が暴れたり大声を出すことを怖がっているのかもしれない。すごくストレスを感じているんだ」

と思って気分転換に健康ランドなどに行ってお湯につかってみるといいかもしれません。

そうすれば考えなしでひきこもり続けるなんてできるわけがない。いろいろ考えすぎてあの子も怖がっているんだと気づく余裕もできるはずです。


こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/05/02

—ひきこもりサバイバー50 -ひきこもりが親に「働きもしないで私たちがいなくなったらどうするつもり」と言われると-

 福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『小さな成功の極意』というお話。

◆◆◆

「私たちが生きている間はいいですけど私たちももう年ですし、もし私たちに何かあったらあの子がこの先どうやって生きていくのか心配です」

親御さんからそういう言葉をたくさん聞きます。

私も両親からよく聞きました。

怒りながら、泣きながら、何度も聞かされました。

そんなとき「じゃあどうすればいいの?」と尋ねることができればひきこもりの私たちはどれだけ幸せでしょうか?

「じゃあどうすればいいの?」

に対する答えに耐えられる自分がいると信じられればどれほど幸せでしょうか?

「じゃあどうすればいいの?」

と尋たときに返ってくる答えにはわしたちひきこもりは耐えられません。

「何でもいいから外に出て人と触れ合いなさい」

「アルバイトでいいから働いてみて」

「仕事を探しなさい」

どれにも耐えられない自分がいるので私たちひきこもりはそれができない理由を口にするか、沈黙を貫くことになります。

それはとてもつらいことです。

苦しいことです。

情けないことです。

「自分でできない自分を探して自分の口から発表すること」は親の思う「他の家の子供はみんなちゃんと働いたり、家庭を持ったりしているのにうちだけはそれをさせてやれなかった」という気持ちと同じです。

親子で手を取って「できなかったこと」「できてないこと」をぐるぐると強化しています。

「何かできそうなことを思いついたらやってごらん。できてもできなくてもいいから。だって何かをやってみないとそれができるかできないかどうかわからないじゃないの。できることを探すためにやってごらん」

そんな気持ちで話ができるようになれば親子ともども「失敗すること」「失敗したこと」へのこだわりが軽くなるのではないでしょうか?



こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/04/25

—ひきこもりサバイバー49 -ひきこもりの人にはわからない緩急-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『あなたはひきこもりですか? それともひきこもり脱出者ですか?』というお話。

◆◆◆

あなたは休みの日何をしていますか?

 仕事中に手を休めることができますか?

 今回は普通の人は意識せずできていてひきこもりの人には できていない緩急についてのお話です。

 動いて休む。 当たり前のことですよね。

 会社にいる間、雑談の一つ、コーヒーの一杯も飲む時間さえ節約して机から仕事から離れない人はいないと思います。

 働く中にも集中する部分とゆっくりする部分を使い分けているわけです。

 それに対してひきこもりの人はこれが苦手です。

 集中していて疲れてきても 「そろそろゆっくりしようか」 ということを自分に許し実行することに罪悪感を感じます。

 また頑張りすぎている自分にもイライラしています。

 たとえるならば

 160キロの球を投げるけどストレートしか投げないピッチャー。

 パスを出さずにボールを持ち続けるサッカー選手。

 一人でドリブルしてシュートしてリバウンドとるバスケットボール選手。

 レシーブ、トス、スパイクを一人でやっちゃうバレーボール選手。

 野球では球種がないので不利になり、サッカーやバスケットボールでは運動量がすごいのにそれをずっと一人でやるのは自殺行為です。

 最後のバレーボールに至っては反則です。

 つまりひきこもりの人が疲れてしまうのはパスを出すことを不真面目と思ってしまうからなのです。

 仕事中はずっと机に張り付いて、あるいはラインに張り付いていないとと考えてしまいます。

 今まで働けてないのだから頑張らないと「ダメだ」という気持ちが強いのです。

 親御さんならひきこもりの人が学校に行っていたころとても真面目だったことをご存じだと思います。

 不登校になる前は無遅刻無欠席だったというように。

 ひきこもりの人はゆっくり休むことが苦手です。

 根が真面目なので休むにしても「頑張って休んで」しまいます。

 もちろんそのあと「頑張って働いて」しまいます。

 いつも全集中です。

 ちなみにこの「全集中」は「鬼滅の刃」という作品の身体能力をあげる 特殊な呼吸法を常に続けることを指しています。

 肺を酷使して呼吸し、体温を39度近くまであげることで人間離れした身体能力を得ます。 

 それを超えると体にあざが浮かび上がり、体がボロボロになっても動き続けることができます。

 その先に行きつくのは・・・

 ひきこもりの人は「全集中の呼吸」をやめるタイミングを体験する必要があります。

 自分がボロボロに傷ついていることに気づいて「全集中」をやめても大丈夫と自分で自分を抱きしめて教えてあげましょう。

 無理をしても周りを心配させるだけです。

 周りの人はひきこもりの人の頑張っている部分ではなく、

 「頑張っていない=リラックスしている」

 部分に目を向けましょう。

 それこそがひきこもりの人の最も苦手な部分で伸びしろなのです。

 もっともそれを見守っている親御さんの方がリラックスすることが悪いことだと頑張りすぎていることも多いです。

 ひきこもりの人をリラックスさせる第一歩は親が本気で

「なんとかなるなる」

 「ケセラセラ なるようになる」

の心を心掛けることかもしれません。




こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。