福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
◆◆◆
悩みに悩んだ末に自転車に乗り、足でこぎだすと悩む暇がなくなります。
体力もそうですがその操作に頭を使います。
悩みに頭を使っていたら電柱に肩をぶつけたり、路肩に乗り上げてこけたりと痛い目にあってきました。
自転車をこいでいる間は危なすぎて悩んでいられないと仕事をやめて、自転車に乗り始めて何度もこけることで、体に叩き込まれました。
自分で失敗してこけたりしているので痛みを人のせいにもできません。
「まるで人生のようだ」なんて思ったりします。
人のせいにしても何もならない。
ともあれ猫カフェについてびくびくしながら「初めてなんですけど」とか言って注意事項を教えてもらいます。
その日はぽかぽか陽気で昼過ぎだったのでお猫様たちはお眠りあそばしています。
床でトランプ広げたみたいにきれいに白い丸になって気持ちよさそうに目を閉じているお猫様やキャットウォークの上で落ちそうになっているのに気にせず、寝ているお猫様。
果ては壁に頭突きをした態勢で動かないお猫様まで。
それを見ていると「こんなに見事に何もしないとはすごいなぁ」と感心してしまいました。
眠っている宝蔵院流宗氏に手出しできなかった宮本武蔵な気分です。
簡単に言えば「これぐらい堂々と寝てみたいなぁ」と感銘を受けました。
お猫様悟っているのでは?
と思うレベルの思い切りの良さです。
文字通り私の膝に爪跡を残した超わんぱくなお猫様もいたわけですが私は眠りお猫様たちにいろいろと教えられた気がしました。
人間って無理してるにゃー。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |

