福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
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連載がはじまる前に、「あいさつ」というか顔合わせがあるのは、常識です。
そして、社会の常識ができないのが「ひきこもり」です。
そんなわけで、無理を言って「電話でのあいさつ」にしてもらいました。
私がひきこもりなことはわかってもらっていたので、メールでやりとりをする間に「すいません。外に出るとか無理なんで電話でお願いします。できれば時間を決めて、そうでないと電話に出られないので」とわがままを書きました。
山下さんは快くOKを出してくれました。
そして、決められた13:00の前日から「そわそわ」がはじまります。
当たり前のことなんですが、ひきこもりの私は一年に二三回くらいしか電話に出ません。
電話があれば出るのですが、ひきこもりの私に電話がかかってくることはほぼないので仕方ありません。
前日の夜にスマホのマナーモードを解除して、ごろごろしながら「明日何を話そう」と眠れませんでした。
約束の日、朝早く布団から出て、母に作ってもらった朝食を食べて、「あと六時間かぁ」とか思います。
スマホを遠くにおいて気を散らそうとして、やっぱり遠くに置いていたら出るのが遅れるかも…とか思って元に戻します。
そして、12:00ごろには頭が痛くなって、布団に突っ伏していました。
スマホは耳元へ。
そのまま、寝落ちしてしまいそうなきつさ(寝不足)だったので、急いで顔を洗いに行きました。
約束の時間になって電話がかかってくると
全然大丈夫、いつも電話くらいしてますけど、という感じで話そうとしてしまいます。
自分が何を話したかはあまり覚えていません。
ただ山下さんが、「ブログにある記事から構成するから、安心して大丈夫ですよ」と言ってくれたことは覚えています。(全部プリントアウトして確認してくれたらしいです)
当たり前のことが、ひきこもり生活では当たり前じゃ無かったりします。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |

