2026/03/06

—ひきこもりサバイバー93 -布団ひきこもりは難しい-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

腰を痛めたので、まったく家から出ない生活に入ることになりました。

朝の散歩で体内時計を整えるのは、窓から入る朝日での日光浴に切り替え、食事の時間はきっちり守るのですが、あぐらをかくと腰がじんわりと痛むので、そのほかの時間は基本布団で横になっています。

自転車で外をうろうろ(30分)とフィットボクシング2(45分)がやろうと思ってもできないので無理な運動は強制排除です。

しないと不安でしたが「腰のズキン」を思うと「オーバーワーク」の重さが実感されます。

お相撲さんが痛々しい姿で土俵に出るのを見て

「ケガしているのに無理してでなくてもいいのに」

と思っていましたが今は

「無理して出ることができるなんてすごいな」

と思います。

「何年も頑張って習慣化したらしないことが大変なんだろうな」

とも。

そして私は三日目にして「家にじっとしているのがつらく」なってきました。

ちょっとでも外に出たい。

コンビニでいいから。

そんな気持ちになります。

布団の中ではあおむけになって腰に負担がかからないように膝を立てています。


そういえば完全ひきこもりのときは本を開いてぼんやりしてたっけ。

そして私は本を開き、目が疲れて寝るということを繰り返すことになります。

違う点は同じ本を意味が分からずに眺めるのではなく、新しい本を手に取っていること。

気分が落ち込む前に寝ちゃうこと。

心の疲れは体の疲れ。

体の疲れは心の疲れ。

そんなことを思いつつ、すやすや眠っています。














こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。