福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
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腰の痛みがなくなってきました。
よいことです。
この二か月で身についたのは早寝早起き。
悪夢への耐性です。
そういえば最初にひきこもっていたとき
「暗く息苦しい教室で授業を受けさせられている」夢をよく見ていました。
よっぽど嫌だったのか障碍者雇用で働き始めてからも疲れてくると同じ夢を繰り返し見ていた気がします。
果たして「学校がいやだったのか」、「勉強が嫌いだったのか」、「それとも頭が悪くて努力も苦手なので勉強ができないことが耐えられなかったのか」、「目的もなく親のどこでもいいから大学には行っておきなさいが嫌だったのか」、「体が弱いので課外授業とか負担が大きくてつらかったのか」、「夢と希望にあふれた学友たちの姿についていけなかったのか」、「ただのコミュ力不足だったのか」はわかりませんがよく同じ夢を見ました。
夢が「ちゃんと考えて答えを見つけてよ」と主張していたのかもしれませんがこうやって腰が痛くなって考える時間ができるまで私には夢と向き合う力がありませんでした。
ちゃんと向き合ってみると何だかんだ言って「学生時代」というのは青春だったのだろうと思えます。
若いので感性が鋭く、主観的なパワーが強いので「強制」させらているとその感覚が強烈に残ります。
おそらく脳が体がピンチのときに警告として生涯で一番強烈なイメージがある「暗く息苦しい部屋で授業を受ける」姿と体験を選択して夢という形で使ってくるのでしょう。
そうなると私の脳は現在、「無職」であるということに強烈なメッセージを送っていると判断していいでしょう。
そう考えると「夢で見たからイライラする、不安になる」ということは健康のために、必要なことなのかもしれません。
それに気づけるように私の脳は頑張ってくれて休みを取れた私は気づけた。
すばらしいことだと思えます。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |
