福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
◆◆◆
あなたは仕事や勉強を頑張った後に何をしますか?
スポーツで汗を流してリフレッシュ?
仕事終わりに一杯飲んでリフレッシュ?
映画や音楽、野球やサッカーなどのスポーツ観戦。
はたまたパチンコや競馬に夢中な日曜日が一番のリフレッシュタイムかもしれません。
私は仕事で疲れた心をいやすために達成感を求めゲームをしていました。
しかし今考えてみるとこれは「人並み」になりたかった私の「無理」だったように思えます。
仕事を終えたら何かご褒美がなくてはならない。
そんな常識を達成するために「がんばって遊んで」いたのです。
本当は疲れ果てた体と心を休めるためにバタンキューが正解なのに「ちゃんとリフレッシュしよう」とさらにがんばっていました。
ゲームは遊びで楽しい、仕事外のリフレッシュタイムだという世間の認識に従ったわけです。
結果は言うまでもありません。
ただでさえ疲れているのにさらにゲームを頑張って疲れが倍増。
疲れが増えると回復のための睡眠時間は長く必要になります。
しかしゲームをがんばったために休める時間は短くなっているのです。
これで心の健康が保てるわけがありません。
私は体調を崩し、仕事から離れる選択をせざるを得なくなりました。
もちろんその時点ではそんな当たり前のことにも気づいていません。
あなたはがんばって「リフレッシュ」していませんか?
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |
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