2020/10/09

ひきこもりサバイバー16 —これ以上「ひきこもらない」ためのゲーム依存—

 福岡県立大学で教員をしている四戸智昭です。

 ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。今回はひきこもりは、ゲームに依存することが、実は今以上のひきこもりを防いでいるというお話について書いてもらいました。

◆◆◆

「ゲームばっかりして部屋から出てこない」
「ゲームで遊んでばかりで学校に行かない」
「スマホばっかりいじっている」
そんな言葉をたくさん聞いてきました。

家庭用ゲーム、携帯用ゲーム、スマホゲーム。

面白いとすすめられた家庭用ゲームをイージーモードでやって、コントローラーのボタンを強く押しすぎて、首とか体が痛くなります。

素材集めのために何百回も同じことを繰り返し、仲間を強くします。

そんなことをしながらふと思います。
「ゲームって重労働かつきつめのルーティンワークだな」と・・・・。

「報酬をもらうために働く。仕事と同じだな。でもゲームは確実に報酬が上がるのに現実は違うな」とも・・・。

「キャラクターに自分ができない活動や活躍をしてもらうことで、日常の報われなさを補完している。」
それを得るために、現実に仕事をしてお金を稼ぐ・・・。

正直、これがなくなったら、人とのかかわりもなく、守る家族も持っていない私は
また「就労不能の診断書」を受け取ってひきこもるでしょう。

ゲームは救いか、それとも呪いか?



こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)



<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

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