2026/01/02

—ひきこもりサバイバー85 -やらない苦しみ-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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「やらない」ということは「できない」とは違います。

見た目は同じですが中身が違う気がします。

「やらない」は行動は「してない」けれど心は「やらない決意」をしています。

もっとも「できない」も

「できなくてもあきらめていない」状態は「あきらめない決意」をしなくてはいけないし、あきらめるにしても「あきらめる決意」をしなければ成り立たないと言われればそうだなぁと思います。

結局、どちらにも「強い決意」が必要というわけです。

この場合は「どちらも同じ苦しさ」を乗り越える力が「強い決意」となります。

これは「やる」決意も同じでしょう。

今までやってきたことを変えることの何と難しいことかと、ため息が出ます。

ただ「やる」場合に比べ「やらない」ことの方がマイナスな感覚があるのでより難しそうです。

退くも地獄、進むも地獄なら前へ進む方を選んだ方が気楽というか正しそうな感覚があります。

オーバーワークがどんなにダメだとわかっていても会社が「しかたない」と言うように。

ともあれ「やらないこと」が難しいと気づくのは大切なことです。

それに気づけばこそ「コントロールを取り戻そうと悪戦苦闘し、そこに道は開かれる」のだと思えます。


















こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。