福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
◆◆◆
通帳にお金が振り込まれていました。
実は、新聞に掲載されたコラムをこの目で確認したことがありませんでした。
掲載してもらっているのに失礼な感じがしますが、これは仕方ありません。
なぜなら、家の新聞を決定するのは、我が支配者たる親だからです。
ひきこもり状態というのはそんなものです。
そして、コラムの報酬が入金されたのを見て、安心しました。
お金が入金されたことで、「自分が社会に関わっているという実感が得られた」からです。
そう考えると「お金をもらわない活動」をするのは、けっこうハードモードな気がしました。
もうちょっと踏み込むと「お金の代わりに、ありがとうをもらう活動」は、やる側も、ありがとうを言う側も大変な感じがします。
美しく、相手を感動させる「ありがとう」は最高評価で、いやいやな「ありがとう」は最低評価とかやるのは、大変です。
心の中で「ありがとう」はやっている側には伝わりません。
やっぱりお金は便利だなぁと思いました。
そういえば、完全にお金ゼロで、親が買い置きしてくれたカップ麺を啜り、ちょっとのコーヒー粉に、料理砂糖を大量にぶち込んで、お湯をつぎ足し継ぎ足しして、甘味を取っていたひきこもりの頃は、外の世界と関わろうなんて、ちっとも思わなかったなぁ。
「やりたいことはないの?」と聞かれても、外の世界は「お金を使う前提の世界」なんで、遠慮して「お金くれたら考える」とか言えなかったなぁ。
子供の頃は、DX超合金〇〇馬の前で駄々をこねて、親のお金で買い物してもらうような勇者だったのに・・・・
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |

0 件のコメント:
コメントを投稿