福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
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仕事から帰ったら毎日ゲームをやって睡眠時間を削っていた私ですが仕事を辞めてからゲームどころかテレビをつけることさえ珍しくなりました。
私が「リフレッシュ」と「休養」は違うと考えて休むことに集中していたからかもしれません。
実際に無理せず、小さな目標をただ達成していくことに集中していました。
朝日を浴びるための五分間の散歩、朝の食事をちゃんと食べること、公園へ行くこと、フィットボクシング2でちょっと体を動かすこと、そして雇用保険受給認定日にはハローワークに行くこと、睡眠時間を記録するなどということもやっていました。
しかしそれをやっても時間はいっぱいあったし、休みになったら見ようと思っていたアニメややろうと思っていたゲームもあったのです。
ところがやる気になれない。
それが心の疲れなのかもしれません。
「追い詰められた主人公が奇跡を起こす」
のと逆に追い詰められることがなくなった私は持っていた「ゲームを起動する」力を失ってしまったようです。
それがよいことなのか、悪いことなのか。
そんなことを考えています。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |

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