2021/01/20

ひきこもりサバイバー20 —失敗を恐れないイメージトレーニング—

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。


◆◆◆

ひきこもりの人も、その親御さんも、支援者の方たちも小さな成功を大事にしたいと思います。
しかし小さな成功を得るためにドキドキが伴いますし、そのうち「早く成果を出さないと」とイライラし出したりしてしまいます。
“何かしないと!”
“どんなことでもいいから”
そんな皆さんに朗報です。
誰でも成果を出せて成功できる方法があります。
それは・・・・妄想することです。

「ああ、息子とちゃんと朝の挨拶がしたい!」
そうやって悶々として声を掛けたら無視された。
次から声をかけるのが怖い。
これは典型的な目標設定ミスです。

あなたがダメなのではなく、単純に目標が大きすぎたのです。
ではどうするのか?

まずは朝の挨拶をしてくれていたあの頃の息子を想像しながら
挨拶をします。(もちろん自分の頭の中で!)

あなたの息子さんはあなたが大好きで、笑顔で挨拶を返し、昨日あった楽しいことを話してくれ、あなたもそれに応えて話をすると息子は本当にうれしそうにうなずき、笑顔を見せてくれます。「妄想なんてばかみたいじゃないか?」
ですって?

それなら言い換えましょう。“イメージトレーニングです”。
スポーツ選手が、いい状態のときの自分のプレーを見て不調を脱出する
という話は有名です。
旅行に行くにも旅雑誌を、ネット通販番組で商品のすばらしさがアピールされる
のをみたらちょっとは欲しいと思うのではないでしょうか?

子どものとの朝の挨拶が成功したらどんなに素晴らしいだろう。
そのためには何回失敗してもがんばろう!と思える準備は必要なのではないでしょうか。





こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)



<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。