2025/09/26

—ひきこもりサバイバー71 -出戻りひきこもり眠ることに苦戦する-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

目標を七時間睡眠に定めてそのために頑張りましたがなかなかうまくいきません。

なぜかというと今まで足りていなかった睡眠不足の借金がいっぱいあるからです。

徹夜した次の日はまる一日眠いけど頑張って起きてるとその睡眠不足は必要睡眠分からマイナスされるという考え方です。

健康を給料としたら眠らないと給料が減ってできることが少なくなります。

できることが少なくなるので眠りの借金をします。

するとさらに健康給料がマイナスになって・・・。

私のようになる、というわけです。

大変ですが眠りまくれば返せる借金なので眠さを感じたらすぐ目を閉じて少しでも眠ることができる今なら返しやすい借金です。

完全に返すと今度は夜4時間くらいしか眠れなくなるのですが朝はすっきり目が覚めるという経験をしました。

もっともそんなシビアなノルマを続けるのは大変で結局、毎日寝まくった私の睡眠時間は不定期更新になりました(笑)。









こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/09/19

—ひきこもりサバイバー70 ー出戻りひきこもり休むを意識する-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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14年と3か月ぶりにひきこもりに戻ってから二か月目には雇用保険受給認定日がありました。

市のハローワークに行き、障碍者窓口へ行って二階へ行きます。

障碍者窓口で私が「何か資格でも取らないとどうしようもないからそういうものはありませんか?」と尋ねると「資格を取るための作業はフルタイムなので今の状態では・・・。気持ちはわかりますがあせらずにゆっくり行きましょう」と優しく言われました。

人の言葉に流されやすい素直さを持つ私はここでやっと「そっか、あせって頑張りすぎてこうなったんだ」と気づきます。

気づいたのでさっそく「心」「疲れ」「休む」「眠り」でブックオフオンラインを検索し、200円くらいの本を20冊くらい注文しました。

マインドフルネス、アサーション、睡眠、筋トレ、心が楽になる気功までとりあえず心と体を休める方法を知ることを目標にしました。

結論としてはまずは寝ること、睡眠時間を記録していくと「無理やりリフレッシュ」のために平均して一日5時間も眠れていないことに気づきました。

まずは七時間眠れるようにするが目標となりました。









こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/09/12

—ひきこもりサバイバー69 -出戻りひきこもり生活その1-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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仕事を辞めて手続きが終わってからはひきこもり生活が始まります。

その間に私が頑張ったことはいろいろあります。

ただ現在はひきこもり生活四か月目なのでやってきたことを一つずつ。

最初に私が頑張ったのは「リフレッシュ行動」でした。

とても困ったことですがこのころは判断力が低下していたので「休むため」に時間を使うことより「仕事をしていた時にはできなかった楽しいことをやりリフレッシュするんだ」という考え方で頭がカチコチでした。

ぽっかり空いた空白の仕事時間をまた「リフレッシュ」という一つのことに消費して頑張らなければいかないと考えていました。

そのときは今まで「仕事で疲れ」て「リフレッシュを頑張って」疲れを大きくしてきたことに気づけませんでした。

前に気付いてブログに書いているのに、できませんでした。

成長したと自分で自分を褒めたのに・・・

「何かやっていれば何とかなる」

「何かやってないと社会的に怒られる」

という考え方はとても強いかったです。

今の社会を競争社会だと考えれば私が何もしないことによって努力している人は「しめしめもっと差をつけてやる」と思ってくれるはずなのに・・・。

社会が許容してくれるなら「しっかり休んで超OK」のはずですが

私としても「今の状態はダメ。元気になるためいったん休もう」と思って仕事辞めたはずなのですが

一人でいるとそわそわしてしまいます。

努力とは習慣である。

習慣になってしまったことをやめるのには努力が必要

仕事をやめて四か月がたった今やっとそう思えるようになりました。











こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/09/05

テンプレ—ひきこもりサバイバー68 -ひきこもり初めての保険の切り替え-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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私は会社を辞めたので社会保険証を会社に返して国民健康保険証への切り替えをしなければいけません。

前回の雇用保険受給資格者証もそうですがとても大変でした。

社会保険の切り替えなどいろいろとやったことがないことをやってとても忙しく緊張してあきらめそうになります。

会社を辞めて命を大事にする決意をして必死で実行してゴールしたと思ったら

「ゴールテープの先にまたゴールテープがある」

というなんだかひきこもりになったときの

「高校だけは」→「専門学校くらいいかないと」→「どこでもいいから就職して」→「寮の部屋で動けなくなってひきこもり」

の流れを思い出しました。

それを思うと

四戸先生や嘉穂鞍手保健所や福岡県の保健士さんたち、医師の判断はじめひきこもり関係の方々に助けられたこと、ひきこもりの方の親御さんたちとの関われたおかげで

「前より早く自分の異変に気付けたのでとてもよかった」

と思います。











こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/08/29

—ひきこもりサバイバー67 -会社を辞めたそのあとは?-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

会社から退職受理の書類をもらい、ハローワークに届け出をして雇用保険受給資格(失業手当受給)を申請しに行きました。

もう精神的にも肉体的にもフラフラだったので窓口の方の

「どうして仕事をやめられたのか確認してもいいですか?」

の言葉につい保健所の保健士さんに話をする調子で涙ながらに長話を聞かせてしまいました。

すると「それは医師の診断書がでれば正当事由になるので受給が早くなりますよ」と教えてもらえました。

正直、よくわからなかったのですが

「疲れ果てた私」は基本「とても素直な子」になります。

こうして私は書類を返してもらい、医師のところへと行くことになりました。

医師は「仕方がないね」と診断書を書いてくれ、正当事由で雇用保険受給者証をもらうことができました。

もうこれだけで何日か動けなくなりました。

ちなみに最初に引きこもりになったときは会社が「診断書をもらってくればいろいろ対応できる」といってくれたのに何もできない状態でした。

成長したなぁ私。








こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/08/22

—ひきこもりサバイバー66 -バーンアウトして会社を辞めるとき-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

体調を崩してバーンアウトし、仕事をやめることになりました。

私はフルタイムの仕事をやるのは無理だから少しゆっくりする気になっていました。

しかしお世話になった会社に退職届を出すというのは大変なことでした。

当時は

「なし崩しではなくきちんと退職するのはこんなに心にクルんだ。つらい」

と思えるほどの余裕はありませんでした。

ありませんでしたがこの部分でさらに精神的に疲れて、ダメになっちゃったことは確かです。

もうフルタイムで働くのが無理な状態だったので仕方ないとわかっていたのですがとてもつらかったことを思い出します。











こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

 

2025/08/15

—ひきこもりサバイバー65 -ひきこもりになる疲労サイクル-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

ついにバーンアウト(燃え尽き症候群)で障碍者雇用からひきこもりに逆戻りした私ですがそのサイクルを記して皆さんの参考にしていただければ幸いと思い筆をとりました。

簡単に言えば「リフレッシュを頑張った」のが原因です。

私は「ちょっとがんばって」いたので「ちゃんとリフレッシュしなければ」と頑張ってしまいました。

普通に遊びと呼ばれている分野の中でメジャーなゲームに時間を割き、ゲームをクリアしたときの高揚感で疲れをごまかしていました。

ところがこの「つもり」が私を追い込んでいきました。

「ちょっと仕事を頑張って疲れる」→「ちゃんとリフレッシュにゲームを頑張って疲れる」→「ゲームクリアの高揚感で疲れを忘れ、頑張れると信じる」→「忘れても疲れは消えないのでどんどんたまる」→「疲れが体に入っているのを忘れてちょっと仕事を頑張って疲れる」→「ちゃんとリフレッシュにゲームを頑張って疲れる」・・・

この繰り返しが私の場合は14年と3か月で限界を迎えました。

「頑張らない」ことはとても難しいですね。











こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/08/08

—ひきこもりサバイバー64 -ひきこもりに逆戻り-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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障碍者就労者としてフルタイムで働き始めてから14年3か月。

とうとうバーンアウト(燃え尽き症候群)してしまいました。

この仕事に就くまで、九年間の間、保健所に相談に行く。

作業所に通うようになり、でも辛かったら作業所に行くのを休む。

その中で月に三千円ももらえたらうれしい内職のようなものをやる。

そのお金でコーラを飲むとうれしい。

という生活から徐々にできることを増やしやっとたどり着いた場所でしたが体力の限界がきました。

普通より「とても簡単なお仕事です」は私にはきつかったわけです。

体力が足りなかった私にはちょっとだけ大変だったのです。

ちょっとだけ大変を「ちょっとだけだから」の精神でがんばっていたら「水滴石を穿つ」になりました。

「ちょっとだけきつい」が落ち続ける水滴のように私の体と心を打ち続け、とうとう私が「ひきこもり」に戻る原因となりました。











こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/08/01

—ひきこもりサバイバー63 -ひきこもり脱出時の私の愚痴-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

私の実感では最大限、甘く見ても「社会活動と認められている場所に行く」というのがひきこもり脱出となります。

 まあ、そこで「何もしなくていい」「来たいときだけ来たらいいから」とは言われるわけですが「行ったら行った」で「明日も待ってるから」 的なプレッシャーが来ます。

 ひどいときには「最近来ないけど大丈夫?」とか追加ダメージが来ることも。

 正直、ごく平凡なひきこもりとしては家では働けプレッシャーがすごいので社会活動のために「安心して熟睡できる場所」を提供してもらえたらどんなにありがたいかと何度も思いました。

 「好きなことをしていいから」とモンハンを持ち寄ってきたひきこもりの人とプレーして帰れる社会的活動の場所があればよっぽど交流できるのにとも・・・

 正直、まっとうに社会生活している人と話すのはきついし、気を遣います。

 しかしながらひきこもり同士で話があるかと言えばあんまりない。

 いろいろとイベントを用意してもらってもベジタリアンが、肉を出されて困惑するような感覚があります。

就労へのステップ感が半端なく、今日、花火見に行って遊んだんだから気晴らしになったでしょ?」

「気晴らししたら次にすることは就労よね?」という幻聴が聞こえそうです。

もちろん被害妄想幻聴でしょう。

 被害妄想幻聴ですよね? 

 ひきこもりの集まりに行ったらそこから就労支援NPOに 行くように誘導することもありませんよね?

 就労支援の場所へ「これも社会活動だ」と行ったら 「就職活動につながるように訓練に参加しないのならなぜ来たのですか!」 と嘆かれることもありませんよね?

 ひきこもりを脱出して外に出ることと就労が混ざってしまっていませんか?

 混ぜてしまってはいませんか?

大事なことなので二回言いました(笑)









こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/07/25

—ひきこもりサバイバー62 -ひきこもりの心を抱きしめる-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

仕事を辞めてから休むことを学んでいます。

明日は何もすることがない。

しなくていい。

そのおかげで理由もなくぼんやりすることを覚えました。

しかしそれから一か月後、福岡県の精神福祉センターのひきこもりサポーター講座の講師である長阿彌幹夫さんと雑談をしたときに私は早く働かないと「人並み」ではないととても追い詰められた気持ちになっていました。

それを口にすると長阿彌さんは「ぼーっとして仕事探しをしてないというけど昔の哲学者とかもお風呂入ってぼーっとしてる時間にひらめきがあったりしたんだから今の時代に本当に必要なのはそういう時間を過ごす能力と余裕かもしれないね。僕もいろいろと仕事を変わったり、パートをやったりしながらこういう活動をやっているから普通とはかなり違う生き方をしていると思うよ」と実体験をもとに焦っている私を優しくねぎらってくれました。

「人並み」があるということはそれから外れている人もいると初めて実感した瞬間でした。

「普通の人は毎日、会社に通っている」という思いは強てそれができない自分を認めるのは悔しい。

けれどできないなら自分なりにやるしかない。

そんなことを教えてくれるのはやはり私の思う「当たり前」の外にいる人なのです。

「みんなと違う」ことを悩んでいるひきこもりの人の肩を抱いてにっこりできるのは「みんなとは違う」生き方をしてきた人だけなのかもしれません。









こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/07/18

—ひきこもりサバイバー61 -がんばりすぎに気がついた日-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

仕事を辞めて一月後に福岡県の精神保健センターの「ひきこもりサポーター講座」の「ひきこもり体験者との対談」の席に呼んでもらいました。

四戸先生がいろんなところで宣伝してくれているおかげで私はこういう席に呼んでもらうことが多いです。


そこで講座講師の長阿彌幹生(ちょうあみみきお)さんとリモート対談をした後にセンターにいた楯林さんと長阿彌さんとの雑談になりました。

その雑談の中で「もしかしたら私はみんなと同じようにゲームを楽しまないといけないと思い込んでいてガチガチに世間のルールに縛られていたのかもしれませんね。ホント」とぽろっと漏らしました。

自分でも「あれっこんなこと考えてたんだっけ」と首をひねりましたが楯林さんがそれを受けて「そうだね。私も家に仕事を持って帰ってもお酒飲んで寝ちゃってたから。お酒飲まなければ少しはましな人間になるだろうと最近は飲まないようにしてるんだけどお酒やめてもやっぱり寝ちゃうんだよなぁ」と冗談めかして言ってくれたのではっと気づきました。

「そうか、私はみんなが納得する理由、みんながやるとリフレッシュできると信じている方法を無理をしてなぞっていただけなんだ」と。

そしてお酒を飲まなくても寝ちゃう。

休むことを優先するから忙しい中でも元気でやっていることを認めることを自然にできている楯林さんのことをすごいと思いました。

良いメッセージに勇気をもらいました。


こういう何気ないやり取り、目標を定めない雑談での言葉は新しい気づきを与えてくれます。

とても心に響きます。

私がひきこもり体験者としてこういうイベントに参加するのはこういう素晴らしい体験をたくさん与えてもらっているからでしょう。

良い経験はきっと行動につながります。








こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/07/11

—ひきこもりサバイバー60 -ひきこもりを続ける心の内-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

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ひきこもり期間というものはつらいものです。

そして親や友達の慰めや励ましの言葉がことごとく自分を責め立る言葉に聞こえます。

なぜでしょうか?

それはひきこもりの人自身が周りの誰よりも「自分が悪いことをしている」とわかっているからです。

ひきこもりの人が

「自分は今みんなとは違ってとても悪いことをしている。だから怒られるに違いない。社会にかかわるように責められるに違いない」

と怖がって震えているときにまるでそれが伝わったかのように周りの人が学校への登校をはじめとした社会へのかかわりを持つように提案してきます。

普通の感覚では当たり前なのですがひきこもりの人は

「思った通りに怒られた」

「学校に行くように責められた」

「こうやっていることはとても悪いことなんだ」

「それをやっている自分は悪い人間で社会から排除されるのが当然な価値のない人間なんだ」

とまで思い悩んでしまいます。


社会的に言えば「犯罪者」になったような感覚です。

その後に何をするにも「前科者」というレッテルは重くのしかかってきます。


悪いことをした犯罪者なのに「自分がやりたいこと」を考えるなんて贅沢だ。

前科者の自分が社会に受け入れられるわけがない。

そんな真面目な思いが

「ひきこもり続ける以外の道」

を見いだせない本当の原因かもしれません。










こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

2025/07/04

—ひきこもりサバイバー59 -あなたは無理してリフレッシュしていませんか?-

  福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

あなたは仕事や勉強を頑張った後に何をしますか?

スポーツで汗を流してリフレッシュ?

仕事終わりに一杯飲んでリフレッシュ?

映画や音楽、野球やサッカーなどのスポーツ観戦。

はたまたパチンコや競馬に夢中な日曜日が一番のリフレッシュタイムかもしれません。

私は仕事で疲れた心をいやすために達成感を求めゲームをしていました。

しかし今考えてみるとこれは「人並み」になりたかった私の「無理」だったように思えます。

仕事を終えたら何かご褒美がなくてはならない。

そんな常識を達成するために「がんばって遊んで」いたのです。

本当は疲れ果てた体と心を休めるためにバタンキューが正解なのに「ちゃんとリフレッシュしよう」とさらにがんばっていました。

ゲームは遊びで楽しい、仕事外のリフレッシュタイムだという世間の認識に従ったわけです。

結果は言うまでもありません。

ただでさえ疲れているのにさらにゲームを頑張って疲れが倍増。

疲れが増えると回復のための睡眠時間は長く必要になります。

しかしゲームをがんばったために休める時間は短くなっているのです。

これで心の健康が保てるわけがありません。

私は体調を崩し、仕事から離れる選択をせざるを得なくなりました。

もちろんその時点ではそんな当たり前のことにも気づいていません。

あなたはがんばって「リフレッシュ」していませんか?










こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。