2025/10/17

—ひきこもりサバイバー74 -不安と向き合う心の力を削るのは?-

    福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

「このブログを100まで書くことをする」

そんな目標を立てたのは仕事をやめて一月くらい過ぎたころでした。

理由は「みんな働いているのに自分は何もしていない」という不安から逃げるためです。

向き合って受け入れるにはその時の状態では簡単ではない。

敗北は死。

そんな直観があったので無意識にそう決めました。

現実には四戸先生から「読む人のことを意識して書いた方がいいよ」と優しく諭されるような、不安を不満に書き換えたような内容ばかりで書くことにも疲れて、いまだに達成していません。

もちろん無理をした分、回復は遅れ、不安を受け入れるのに四苦八苦しています。

不安や違いがあってもいいと許せるのは健康な心あってこそです。













こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

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