2025/08/01

—ひきこもりサバイバー63 -ひきこもり脱出時の私の愚痴-

   福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。

ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。

◆◆◆

私の実感では最大限、甘く見ても「社会活動と認められている場所に行く」というのがひきこもり脱出となります。

 まあ、そこで「何もしなくていい」「来たいときだけ来たらいいから」とは言われるわけですが「行ったら行った」で「明日も待ってるから」 的なプレッシャーが来ます。

 ひどいときには「最近来ないけど大丈夫?」とか追加ダメージが来ることも。

 正直、ごく平凡なひきこもりとしては家では働けプレッシャーがすごいので社会活動のために「安心して熟睡できる場所」を提供してもらえたらどんなにありがたいかと何度も思いました。

 「好きなことをしていいから」とモンハンを持ち寄ってきたひきこもりの人とプレーして帰れる社会的活動の場所があればよっぽど交流できるのにとも・・・

 正直、まっとうに社会生活している人と話すのはきついし、気を遣います。

 しかしながらひきこもり同士で話があるかと言えばあんまりない。

 いろいろとイベントを用意してもらってもベジタリアンが、肉を出されて困惑するような感覚があります。

就労へのステップ感が半端なく、今日、花火見に行って遊んだんだから気晴らしになったでしょ?」

「気晴らししたら次にすることは就労よね?」という幻聴が聞こえそうです。

もちろん被害妄想幻聴でしょう。

 被害妄想幻聴ですよね? 

 ひきこもりの集まりに行ったらそこから就労支援NPOに 行くように誘導することもありませんよね?

 就労支援の場所へ「これも社会活動だ」と行ったら 「就職活動につながるように訓練に参加しないのならなぜ来たのですか!」 と嘆かれることもありませんよね?

 ひきこもりを脱出して外に出ることと就労が混ざってしまっていませんか?

 混ぜてしまってはいませんか?

大事なことなので二回言いました(笑)









こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)


<プロフィール>
 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。
 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。
 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。
 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。

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