福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
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ついにバーンアウト(燃え尽き症候群)で障碍者雇用からひきこもりに逆戻りした私ですがそのサイクルを記して皆さんの参考にしていただければ幸いと思い筆をとりました。
簡単に言えば「リフレッシュを頑張った」のが原因です。
私は「ちょっとがんばって」いたので「ちゃんとリフレッシュしなければ」と頑張ってしまいました。
普通に遊びと呼ばれている分野の中でメジャーなゲームに時間を割き、ゲームをクリアしたときの高揚感で疲れをごまかしていました。
ところがこの「つもり」が私を追い込んでいきました。
「ちょっと仕事を頑張って疲れる」→「ちゃんとリフレッシュにゲームを頑張って疲れる」→「ゲームクリアの高揚感で疲れを忘れ、頑張れると信じる」→「忘れても疲れは消えないのでどんどんたまる」→「疲れが体に入っているのを忘れてちょっと仕事を頑張って疲れる」→「ちゃんとリフレッシュにゲームを頑張って疲れる」・・・
この繰り返しが私の場合は14年と3か月で限界を迎えました。
「頑張らない」ことはとても難しいですね。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |
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