福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
◆◆◆
障碍者就労者としてフルタイムで働き始めてから14年3か月。
とうとうバーンアウト(燃え尽き症候群)してしまいました。
この仕事に就くまで、九年間の間、保健所に相談に行く。
作業所に通うようになり、でも辛かったら作業所に行くのを休む。
その中で月に三千円ももらえたらうれしい内職のようなものをやる。
そのお金でコーラを飲むとうれしい。
という生活から徐々にできることを増やしやっとたどり着いた場所でしたが体力の限界がきました。
普通より「とても簡単なお仕事です」は私にはきつかったわけです。
体力が足りなかった私にはちょっとだけ大変だったのです。
ちょっとだけ大変を「ちょっとだけだから」の精神でがんばっていたら「水滴石を穿つ」になりました。
「ちょっとだけきつい」が落ち続ける水滴のように私の体と心を打ち続け、とうとう私が「ひきこもり」に戻る原因となりました。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |
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