福岡県立大学で嗜癖行動学を研究している四戸智昭です。
ひきこもりからのサバイバー(生還者)の声に学ぶことが大切だと思い、元ひきこもりのこだまこうじさんにエッセイを書いてもらいました。随時掲載の予定です。
今回は、『ひきこもりの継続を強力にする小さな成功体験』というお話。
◆◆◆
私は会社を辞めたので社会保険証を会社に返して国民健康保険証への切り替えをしなければいけません。
前回の雇用保険受給資格者証もそうですがとても大変でした。
社会保険の切り替えなどいろいろとやったことがないことをやってとても忙しく緊張してあきらめそうになります。
会社を辞めて命を大事にする決意をして必死で実行してゴールしたと思ったら
「ゴールテープの先にまたゴールテープがある」
というなんだかひきこもりになったときの
「高校だけは」→「専門学校くらいいかないと」→「どこでもいいから就職して」→「寮の部屋で動けなくなってひきこもり」
の流れを思い出しました。
それを思うと
四戸先生や嘉穂鞍手保健所や福岡県の保健士さんたち、医師の判断はじめひきこもり関係の方々に助けられたこと、ひきこもりの方の親御さんたちとの関われたおかげで
「前より早く自分の異変に気付けたのでとてもよかった」
と思います。
こだまこうじ (元ひきこもり。1976年福岡県飯塚市生まれ、同市在住。)
<プロフィール> 中学時代いじめ被害、高校で不登校に。その後、最初のひきこもり時代を経験。このとき、「キツイから精神科に連れて行って」と親に泣いて希望するも、完全に無視される。周囲から就労を強要され、専門学校へ入学。その後、就労するも就職先の社員寮で動かなくなっているところを発見され、会社は9か月でクビ。4年間の本格的なひきこもり時代に突入。 その後、保健所の支援でひきこもりから脱出。2009年、保健師にとってまれにみる成功例として福岡県嘉穂・鞍手保健環境事務所の「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーに就任。自立できるほどの収入はないが、ひきこもり当事者家族の話を聴いて支援をすることになる。 しかし、2020年に国や県がひきこもり当事者への就労支援を加速させることになり、「ひきこもり家族相談会」のアドバイザーとしてのお役御免となる。 「死んで地獄に行ったら、鬼に責め苦を喰らい、極楽に行っても悟った超阿弥陀如来に解脱するまで修行させられる」ことを恐れて、今日も何とか生き延びている。 |
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