2011/05/18

ストーキングというプロセスアディクション

女子大学生が大学内で切りつけられるという事件が起きた。
2011年5月18日 朝日新聞 女子大生ら刺した容疑 神戸学院大卒業生逮捕

大学という場所で、このような事件が起きてしまうのは、人事ではない。

記事によると加害者は、女子学生の元交際相手で、この春に同大学を卒業して就職し、埼玉に移り住んだという。女子学生とは3月に別れたが、その後も「一人ではやっていけない」というメールや電話を繰り返し、東京に来るよう迫っていたという。

いわゆるストーカー事件だが、ストーキングという行為は、プロセスアディクションである。
対象者から見捨てられるのではないかという不安から、その対象にしがみつく行為である。

ストーキング依存は、それが悪いこととわかっているのにも関わらず、ストーキングしてしまう依存症であり、その病理の中核には、対象のことがいつも忘れられないという”強迫観念”がある。また、対象を意のままにコントロールしたいという欲求もこの病理の中核である。

プロセスアディクションの代名詞としては、ギャンブル依存症(Pathological Gambling)がある。四六時中、ギャンブルの事が頭から離れず、ギャンブルをするための金が欲しいために、借金をしたり、人を騙したりする。

ストーキング依存というのも、これと同じで「警察の接近禁止命令が出ているから止める」という単純なものではない。対象の事がいつも忘れられない。対象が離れてしまうと思うと不安が募る。結局、違法行為や迷惑行為をしてまで、対象をコントロールしようとしてしまう。

警察の対応は口頭での厳重注意と誓約書の提出というが、これらの対処はストーキング依存の人にはほとんど意味をなさないと思われる。ストーキング行為に対する治療命令が出ていたらこのような事件を防げるのではないかと切に思う。

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